あなたには、恨んでいる人がいますか?
どうしても許すことができない人がいますか?
私にはいます。
恨むべき相手と手を取り合って仲良くしてくださいと言われてもできる自信がありません。
そんな私が平和について語る資格があるか分かりませんが、
ここに今感じていることを記しておきたいと思います。
映画『木の上の軍隊』の沖縄での先行上映が、2025年6月13日に開始されました。
太平洋戦争末期、2人の兵士が終戦を知らず約2年間、ガジュマルの木の上で暮らしたという実話をもとにした映画で、W主演を務めるのは、堤真一さんと山田裕貴さん。
本作の監督を務めたのは沖縄の若きホープ、平一紘さん。
そして、主題歌を担当したのは伊江島出身のシンガーソングライターAnlyさんです。
映画の舞台となった伊江島出身の彼女は、改めて地元の歴史を学び直し、
伊江島だけでなく、日本や世界で今起きていることにも目を向け、
監督とも何度も意見をぶつけ合う中で、【ニヌファブシ】という楽曲が誕生しました。
※ニヌファブシは沖縄の方言で、北極星の意味⭐️
Anlyのコメントの中で以下のように綴っています。
私の今までのキャリアは、”『木の上の軍隊』の主題歌を書く”という使命に繋がっていたのだと思います。私は伊江島に生まれ育ちました。
穏やかな島の風景の端々に影を感じるときがあります。戦争の傷跡は人の心、自然、建造物、あらゆる所に80年経った今も残っています。それらは命が繋がれた奇跡と家族への感謝も思い出させます。
今回の楽曲制作では相手を理解しようとする姿勢や、共に考える仲間がいるから様々な視点で物事を捉えることができることを学びました。それは平和への一歩だと思いました。
ニーバンガジュマルは、映画を通して多くの人の心の中で枯れることなく想いを守り続けていくでしょう。いつも同じ場所にある北極星のように、平和への想いを胸に灯し、私は歌い続けます。木の上の軍隊公式サイト Anlyコメントより
そんな、私と同世代の沖縄出身の監督とシンガーによって、”生きることの大切さ”を
次世代へ伝えていくための大事な作品をつくり上げてくれたことに感銘を受け、
本日2025年6月23日、慰霊の日に映画を鑑賞してきました。

本作は2025年7月25日に全国公開を控えているため、
あらすじについての記載は控えておきますが、
あえて魅力を3つ挙げるなら
- とにかくリアル
- それぞれの正義に光を当ててくれる
- 主題歌との相性が抜群
それぞれ詳しくみていきましょう。
とにかくリアル
実話に基づく物語ということもあり、監督をはじめとする製作陣の本気を感じます。
そして何より、主演の2人の卓越した演技力をはじめ、少ししか登場しないキャストまで、
非常にリアルに描かれ、物語を進行する上で非常に重要な役割を持っていて目が離せません。
それぞれの正義に光を当ててくれる
主演の2人に目を向けてみると、
宮崎から派兵された少尉(堤真一)と沖縄出身の新兵(山田裕貴)です。
全く違う立場で戦場に立ち、戦う彼らが同じ考え方、正義を持っているはずがありません。
彼らの会話の中で、どちらが正しいなどの恣意的な描写はなく、それはその立場に置かれた人間を想像してみると、非常に説得力があり、正当なものに感じられるのです。
そんな2人の生き様を見る中で、あなた自身が感じたものを大切にして欲しいです。
主題歌との相性が抜群
冒頭の方でも触れましたが、主題歌であるAnlyさんの【ニヌファブシ】との相性が抜群です。
映画本編も主題歌も共通しているのは、”当時の人々の視点で描かれている”ことです。
今から80年前の戦時中を振り返り、「愚かだった」「無意味だった」「2度と繰り返すべきでない」などと主張することは、今となっては簡単かもしれません。
しかし、そういった視点ではなく、当時を生きる人間の視点に立って描かれたこの映画とこの歌の親和性は非常に高く、エンドロールまで含めてはじめて作品が完成すると言っても過言ではありません。この感動を、ぜひ映画館で体感してみてください。
今回、映画を鑑賞したが慰霊の日の午前中ということもあり終演後すぐに正午を迎えたため、
映画館内に設置されたガジュマルの木の前で”黙祷”をしました。
戦争で犠牲になった方や、苦しい中を生き抜いた方など、戦時中の人々の想いを想像すると、
自然と涙が溢れてきて、気がつくと本編上映中よりも泣いていました。

今、日本で生きている私たちは果たして平和なのでしょうか?
いわゆる「有事」と呼ばれる武力で奪い合うような事態は、幸い起こっていません。
しかし、SNSを覗くと、ここぞとばかに揚げ足を取りたがる人たちが、顔を出すこともなく、心の殺し合いをしているのを見かけます。
今、沖縄で暮らす私たちは果たして幸せなのでしょうか?
生まれた時から、当たり前に隣り合わせの米軍基地、授業中でも夜でも聞こえる戦闘機の音。
しかし、そこから生まれる経済効果や、異文化交流によって沖縄という島ができあがったのも事実です。
これから先も自分たちが笑って暮らしていけるように、
そして、その先の子どもたちに何を残していけるか考えながら日々を送っていこうと思います。
そんな私にも、恨んでいる人がいます。
そんな相手とこの先出会った時、ほんの少しだけでも相手の立場に立って考える
心の余裕を持って生きていきたいと思います。


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